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ラ・メール 25番テーブル

ラメール スタッフのとあるエピソードを紹介します。

私がラ・メールに勤めた最初の年の出来事です。
マンヴィンダー・プリ氏は当時ハレクラニの料飲部長を務めており、
週に二晩はラ・メールのレストラン・マネージャーを務めていました。

ある晩のこと、私たちが“25番テーブル”と呼んでいる、ラ・メールの一角に位置する、
海に面したテーブル席のリクエストをいただきました。
できるだけこのリクエストにお応えできるよう、
レストラン開店時間の午後6時においでいただくようお願いしました。

6時きっかりに現れたのは初老のご夫婦で、リクエスト通りのテーブルにお着きになりました。
少し間をおいたのち、プリ氏はなぜ彼らがこのテーブルにこだわるのかを尋ねてみました。

退役海軍将官のこの紳士は、今から50年前、
彼らのハネムーンでハレクラニに宿泊した際、この25番テーブルが、
彼らのハネムーンスイートの辺りに位置するのだと答えました。
「もちろん50年前はカクテルは1ドル、ディナーも5ドルとはしませんでしたよ。」
と愉快そうに話してくれました。

プリ氏は、この夫婦がハレクラニ特製のマイタイと、
ロマンティックな夕食をゆったりと楽しんだのを見届けた後、
自らチェックをテーブルに届けました。
紳士はそのチェックを見た時、自身の目を疑いました。
チェックの合計がたったの$12.50だったからです。
紳士はプリ氏の粋なはからいに言葉を失ってしまいました。
プリ氏は、夫婦のカクテルにそれぞれ$1、食事にそれぞれ$5、
これに税金を足した$12.50、つまり50年前と同じ金額を請求したのでした。

私も大変感銘を受け、この夫婦が店を後にしたのち、
彼に「とても感動しました。脱帽です。」と告げました。

一年後、ラ・メールに中年の紳士がいらっしゃいました。
彼はバーカウンターの辺りで立ち止まり、25番テーブルを眺めていました。
私は彼に近づき、何かお手伝いできるかたずねたところ、
25番テーブルを見に来たのだと答えました。
私はどうも彼と例の老紳士が似ている気がし、
二人に何か関連があるのかをたずねてみました。
「ええ、彼は私の父親で、今階下のハウス・ウィズアウト・ア・キーにいます。」
老紳士は息子たちに、一年前にここでアニバーサリーディナーをした際、
プリ氏の親切にとても感動したことを話し、
ディナーをしたのはあの辺りだと指差したのでした。
そのエピソードを聞いた息子は、
このテーブルを見に来ずにはいられなかったのでした。

数年後、この息子が再びラ・メールに入ってくるのを目にしました。
彼はまた同じ場所に立ち止まっていました。
「またおいでいただけたんですね!」
「はい、父を偲びに来ました。」と穏やかに答えました。
私も悲しみを覚えましたが、彼をしばらくそっとしておきました。
彼がレストランを去る際、
今回ハワイには彼の妻と子どもたちと来ているのだと私に告げました。

プリ氏と老紳士のエピソードを思い出すにつけ、
心のこもった接客というのは、こんな風に次代にまで受け継がれていくことを学び、
いつか私もお客様の心に残るおもてなしができることを願わずにはいられません。


ラ・メール

コメント

No title

ロマンチックな話ですね

No title

パイン さん
この話は既に拡散されているので、
25番テーブル指名のお客様もいるそうですよ。
私はテラス席ならどこでもいいですが、
いつかここで食べてみたいです。
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